『第7回 事業提携先を見つけた後の交渉と収益化 』

少し、コラムのアップのスケジュールがズレてしまいましたが、今回は、第7回目で、最終回となります。

これまで、事業提携の有用性やパターン、提携先の見つけ方についてお話してきましたが、今回は、事業提携先を見つけた後にどうするか?についてです。

今回は、やや長くなりますが、皆さま、是非、お付き合いください。

事業提携による事業立ち上げのメインシナリオ

オーソドックスな計画は、下記に示しますように、おおよそ、3ヶ月から半年で提携先を見つけて、それから、23ヶ月くらいで、提携交渉をして、提携内容をまとめます。

契約書や覚書として、文書を取り交わす場合には、最初に簡単に「基本合意」をして、一緒に提携して事業を進めていく旨をまとめ、その後、詳細な条件などを取りまとめた「最終合意」をするという2つのステップに分けると進みやすいです。

そして、試行錯誤しながら、共同で新しい事業を立ち上げて行き、提携後、半年〜1年後くらいから、新しい売上を立てることを目指していき、提携後、2年目には、事業の収支を合わせ、軌道に乗せていく形がメインシナリオとなります。



交渉はともかく粘り強く!

法人営業メソッドのところでも、いつもお話をしていることですが、BtoBの交渉においては、(1) 社外稟議担当者になったつもりで、稟議を上げるために必要な情報を提供する、(2) 相手側の意向、すなわち、気になっていること、表の言葉には出さないが、こうなるとまずいなと心配していることを察知して、先回りして対応していく、そして、(3) あとは、ともかく、粘り強く、取り組む!、ということになるかと思います。

「絶対、話をまとめる!」という強い執念も、必要になります。実は、ここが最も大切かもしれません。精神論ではないですが、よほど外れた内容でなければ、相手に意欲が伝わりますし、また、勢いがある先と組みたいと誰もが考えるのでので、“交渉ライン”をきちんと持って、強い気持ちで、交渉にあたりましょう。



事業提携の提案書(事業計画書)の作成

必要に応じて、事業計画書のような収支シュミレーションを盛り込んだような事業提携の提案書の作成も必要になります。相手企業が大手の場合には、そういった資料がないと、合理的に判断するための材料がないということで、話が進まないことにもなります。状況に応じて、作成に負担はあっても、きちんとした事業計画の提案資料を作成することに取り組みましょう!私は、そういった資料の作成のアドバイスやサポートも普段、行っています。

事業立ち上げの時間スパンをしっかり把握する!

 

「事業立ち上げの時間スパンをしっかり把握する!」ということは、重要です。特に、オーナー経営者の方は、事業提携による新規事業に取り組んだ際、早くキャッシュを取りたいと思って、最初に立てた事業計画の時間スパンを忘れてしまいがちです。

何年(何ヶ月でもよいですが…)の計画で取り組むものなのか、取り組み始める前にきちんと決めることが大切で、その後は、自分たちが今、どの“時点”を進んでいるのかを、正しく認識して進めていくことが大切です。

そうしないと、うまくいっているのか、いっていないのかが解らなくなります。

特に、社長さんやチームリーダーなど責任者の方が、焦ってしまって、どの“時点”を今歩いているのかがわからなくなると、現場が混乱してしまいます。

事業提携による新規事業の立ち上げにおいては、「Jカーブ」(最初に先行して支出が出ていく分、収支がマイナスになり、その後、収益が上がって、プラスに転じていくキャッシュフローの曲線)のどこを歩いているのか、歩いているべきなのかをきちんと正しく認識して進めることが肝要です。





事業構築では、「試行錯誤」(PDCA)が重要!

事業は、最初に打った“打ち手”がすぐにうまくいくということは、ほとんどありません。

これがダメなら、これをやってみる、それでもダメなら、これをやるというように、“打ち手”の数を多くすることが大切です。

そして、もし、売上や利益水準が目標に達していない場合には、なぜ、目標を達成できていないのかを分析し、問題点や課題を抽出し、それを、どのようにしたら解決できるかの仮説を作り、そして、実行してみて、そしてまた仮説を検証するという試行錯誤が非常に重要となります。

Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(見直し)のいわゆる「PDCA」です。

このPDCAを、社長さんだけでなく、社員の方々で、回していける会社は、非常に“強い会社”と言えます。

私は、これまで、ベンチャーキャピタリストやコンサルサルタントとして、多くの企業の経営会議に出る経験をしてきていますが、経営会議で、PDCAの議論をきちんと行っている会社は、成長しています。「経営会議がしっかりしている会社は伸びる!」と言えます。是非、事業提携による新規事業の立ち上げを行う場合には、経営会議をしっかり行って、正しい試行錯誤を積み上げていただきたいと思います。


以上です。

これまで、7回にわたって、『売上アップのための事業提携のススメ 〜小さな会社の必須科目』をお届けしてまいりました。いかがだったでしょうか?

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2013年4月18日に連載

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