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第6回オープン・イノベーションに役立つCVCの活用法

2021.02.19

お知らせ

オープン・イノベーション推進の留意点

CVC投資によるオープン・イノベーションの推進にあたっての注意点について、いくつか述べておきたい。

    • “他人の皮膚を移植するようなもの”

       オープン・イノベーションによって、外部の技術を社内に取り込むことは、形成外科で言えば、“他人の皮膚を自分に移植するようなもの”と言えよう。それは、それほど簡単なことではない。
       たとえば、新技術を外部から取り込んで、事業化していこうとする際、社内での予算配分において、既存の社内で開発されて軌道に乗ってきている案件と比較して、まだ何年か赤字が続く見通しなどとなる外部からの新技術の案件は、やはり、劣後して取り扱われてしまうことがある。
       つまり、オープン・イノベーションで、外部から新技術を獲得してこようとしても、結局、社内の理解が得られなかったり、抵抗にあったりして、実っていかないのである。
       また、“ケミカル”の問題も発生することもある。NIH症候群(Not Invented Hereで、自社内で開発されたもの以外を受け付けないシンドロームのこと)のある会社においては、外部から入ってきたものに対して、相性として、合わないと感じてしまって、協力的になってくれない、結局、誰も推進をしないという状況に陥るケースもある。
       このように、外部からの新技術の導入には、障害が多いことをまず、覚悟することが必要であろう。




    • 社内のファシリテーター、サポート役が大切
       

       上述のような課題が発生しがちなオープン・イノベーションにおいては、社内にコーディネートをするファシリテーターの存在が必要となる。それも、できれば、出来るだけ、上層部の経営層に、サポート役となってくれる方がいるかどうかが大切になってくる。
       そのようなファシリテーター、サポート役がいるかどうかで、せっかく、投資案件を発掘して、投資をしても、技術を社内に取り込むことに成功するかどうか、その果実を得られるかどうかが、まったく異なった結果となってくる。
       さらには、オープン・イノベーションを担う方が、理工系バックグランドの研究者タイプの場合には、苦手なこと、たとえば、会計や法律などがあれば、それら苦手なことを補う人材を、オープン・イノベーションのチームに投入することも必要となる。




  • 曖昧すぎる形で投資せず、提携等のストーリーを明確にして、投資する
     

     CVC投資は、買収に比べて、曖昧な投資ストーリーで投資せざるを得ない面がある。すなわち、
    まだアーリー・ステージの段階で、なんらかの協業ができそうだという予想・目論見がある段階で投資し、投資してから、さらに吟味していくという形にならざるをえない。しかし、そのような曖昧な段階で投資するとしても、投資段階で、どのように提携・協業するのか、追加で資金や人員などのリソースをどのくらい投入するのか、最終的なEXITをどうするのかといったことを、出来る限り、明確にすることが大切である。
     それがあやふや過ぎる状態で、投資してしまった場合、投資後にフォローアップをどのようにすればよいかわからなくなるだけでなく、場合によっては、投資先ベンチャーを中途半端な状態としてしまい、衰退させてしまうことにもなりかねない。
     CVC投資にあたっては、なんとなく、おもしろそうだという曖昧な感覚で投資判断せず、出来る限り、明確な提携・協業、そして、EXITのストーリーを描いて、それが可能な案件にのみ投資する意識が大切であろう。

冨田 賢 (とみた さとし)

Satoshi Tomita, Ph.D.

株式会社TCコンサルティング 代表取締役社長
博士(政策・メディア)

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