お客様の声
VOICE
CVCファンド運用
お客様の声
もともと当社のコンサルティング先企業で、新規事業立ち上げ及びCVCファンド設立のアドバイスをさせていただき、現在、CVCファンドを受託運用させていただいているトーヨーカネツ株式会社様のインタビューです。詳細に答えてくださっていますので、是非、ご覧いただけましたらと思います。
-
トーヨーカネツ株式会社(東証1部上場)
右:常務執行役員(新規事業管掌)柿原 明 様
左:経営企画部 グループマネージャー 吉澤 晋太郎 様
[ 会社概要 ]
トーヨーカネツ株式会社は東証1部上場企業で、物流センターや空港などのシステムソリューションを提供する物流ソリューション事業と、LNGや原油など大型タンクを手掛ける機械・プラント事業の2つを主力事業としています。
物流ソリューション事業では、流通分野においては国内ほぼすべての大手総合Eコマース事業者様とお取引いただいており、トップクラスの納入実績を誇っています。また空港向けの手荷物搬送システムでも国内シェアはナンバーワンです。機械・プラント事業ではこれまで国内外で5,700基以上の納入実績を誇ります。
-
CVCを設立したきっかけ・目的は、どのようなものでしょうか?
柿原さん
私どもの方は、今申し上げました2つの事業を中心に収益構造が構築されておりますけども、2つの事業がかなり大きなビジネスサイクルの中で、好況不況を繰り返している状況でございます。その中で2つともかなり大きなボラティリティがあることから、それにプラスで、第三の事業を立ち上げたいというのがCVCを立ち上げた理由でございます。
これまで当社でも、新規事業立ち上げの試みを何回もしてきております。社内でいろいろ若手の人たちを募って、アイディアを出してもらって立ち上げるようなことをやってきましたけれども、ことごとく失敗しておりました。
その中で、今後は内なるイノベーションではなくて、広く世の中から色んなアイディア、色んなビジネス、色んな技術を吸い取って、オープン・イノベーションでやっていこうと、そういう結論になりまして、冨田先生のところにお願いしたということでございます。
-
TCコンサルティングとの出会いはどのようなきっかけで、また、選んだ理由は何でしょうか?
柿原さん
もともとは冨田先生には、以前から当社の経営全般のコンサルティングをやっていただいておりました。以前、新規事業を立ち上げるにあたり、かつて大手証券会社系のシンクタンクを使ったことがありましたけれども、やはりそういったところは、会社の構造改革とか内なる課題を解決するにはいいんですけれども、外からいろんなアイディアを取ってくるといったコンサルについては、総合のコンサル会社よりも、冨田先生のようなかつて独立系VCを立ち上げた日本の独立系VCの創成期に活躍された方のノウハウとか、それから成功とかたまには失敗とか、そういった歴史を踏まえて行動いただく方がいいのではないかと、このような思いでお願いする経緯になりました。
-
CVC設立・運営など、新規事業立ち上げの重要なポイントは、どのようなものでしょうか?
柿原さん
私どもはトーヨーカネツという企業で立ち上げる新規事業でございますけれども、社内にて新規事業の色んなアイディアが出たとしても、これを大企業の論理で一つ一つ潰していくと、結局何も残らないということになります。したがって、そうではなくて、外から良いものがあれば、すぐそれに会って、そういうふうにアクションを起こしていく、そういうふうに決断するといったサイクルをすることが非常に大事だというふうに感じております。
したがって、会社本体でそういったものを運営していくよりも、CVCという独立した意思決定機関を創設して、その中で、立ち上げていく方が、結果としてはるかに成功率が高く、スピードも速いということを我々は考えまして、CVC設立を冨田先生にお願いすることになりました。
吉澤さん
新規事業立ち上げといったときに、色んな手段はあるとは思っています。M&Aもろもろあるとは思うんですが、その中でもCVCという仕組み・やり方というのは、それこそこれから事業を自ら立ち上げようとしているようなスタートアップとの接点になる、そういったことは我々も新規事業を立ち上げるといったところで同じ価値観を持って、新しい事業を立ち上げということに向かっていける意味でもすごく価値がある仕組みなんだろうなと感じております。
-
CVCを設立・運営してみて良かったエピソードとしては、どのようなことがありますでしょうか?
柿原さん
いわゆる一般的な企業、上場企業の意思決定の方法というのはいくつか候補になるものを複数集めてその中で、比較衡量して、一番良いものを選ぶと、こういう時間のかかる意思決定プロセスをしていくわけですけれども、ベンチャーの世界ではこれとは全く真逆で、良いものがあったら早く取り組むといった、スピードが命という言葉がございます。
今回立ち上げて、冨田先生には海外の大学を回っていただいたり、海外のインキュベーターと仲良くなって頂いたりして、そこの人脈で、新しい良い企業を紹介していただくと、こういうプロセスがかなり出来上がったと思います。いわゆる一般的な上場企業の普通の仕事のやり方とは全く真逆のやり方でございますけれども、それによって、我々が新しいビジネスに出会う機会というものが、かなり広がったのかなと思っております。
次から次へと新しいものを紹介していただくのも、そういったことで出来てきましたので、そこについては非常に良かったなと思いますし、今回冨田先生のご指導もありまして、あまりに著名なシリコンバレーとかそういったところではなくて、もう少し周辺のところで、サンディエゴなどで、我々の存在感を出していこうという戦略を打ち出していただいて、それに従って我々もやったわけなんですが、結果としては、アメリカでもシンガポールにおいても、またオーストラリアにおいても、そういったところと極めて親密な関係ができて、また投資先のベンチャーとも非常に仲間のような関係ができたということは、一般的な大企業の中ではなかなか体験できないようなビジネスプロセスでありますけども、まさにこれが、CVCを設立して、運用してみて初めて分かったようなメリットではないかというふうに思います。
吉澤さん
社内の文化が変わってきているのかなということは感じています。これまで既存事業の中でやっていると、今までの付き合いとかそういったものの関係性でいろんな会社と付き合ってというところではありますけども、それとは全く文化の違ったスタートアップと接点を持つことで、新しいオープン・イノベーションに繋げるという上でも、CVCで投資をしていくということは、社内を変革する手段になるのではないかと感じています。
-
冨田社長の人柄はどのようなものでしょうか?また、“強み”はどこにあると感じておられますでしょうか?
柿原さん
人柄は、とにかくスピーディーに、ビジネスチャンスをつかんでくるという方だと思っていまして、コンサルもやられておられて、ベンチャーの人脈もあるということで、そういった意味では、大企業に向けたベンチャーの取り組みというのも非常によくご指導いただける方、なかなかこういった方はいないんではないかなと思います。
また、ベンチャーの投資家の中には、人脈が中心で、そのほかはあまりないという方も、勘でやられる方がいらっしゃると思いますけども、アカデミズムのバックグラウンドもすごくしっかりされた方で、学会での発表であるとか、慶應の博士で、立教MBAとかいろんなところで教鞭をとられたり、研究をされているという方でございますので、我々のような企業側としても、上場企業側としても、非常に安心してお願いをできるという意味では、普通のベンチャーキャピタルの方々とは一線を画していらっしゃる方かなというふうに思います。その辺がCVC、ベンチャーキャピタルの中でも、コーポレートベンチャーキャピタルをご一緒にやる中では、非常に我々としても接しやすい方なのかなというふうに思います。
吉澤さん
この表現が正しいか、ちょっと失礼な言い方になってしまうのですが、嗅覚というんですかね、そういった匂いを嗅ぎつける、こういった分野が良いのではないかというアンテナを常に張って、そういった情報をいろいろ収集されて、それを我々にフィードバックしていただけるので、そういった部分というのは非常に素晴らしいな、尊敬するなというところでございます。
なかなか運営していくなかでうまくいかない部分が出てくる中で、率直にそういったことをお伝えいただいて、時には厳しいご意見も忌憚なくおっしゃっていただける、包み隠さずおっしゃっていただけるところっていうのはとても有難いなというふうに思っております。
柿原さん
他の上場会社さんから私どものCVCを時々注目されまして、いろいろどうやっているんですかと聞かれることはあります。そのときにCVCの構造をご説明した時に、冨田先生にお願いしていることを申し上げますと、どうしてこの人なんですかという質問は出るのですけど、やはり一般的な大企業さんが付き合いになっているコンサルタントの会社ではやっぱり駄目なんですよとお話することがあります。
先ほど嗅覚って言う話がありましたけれども、アクセスがあったり、そういう行動パターンとかそういう目線で話ができたりする人でないと、こういう新規事業の立ち上げはできません。そういう話をさせていただくと納得されるということがよくあります。
-
今後のCVC運営における目標は、どのようなものでしょうか?
柿原さん
CVCという意味では2つのフェーズがあると思っていまして、一つは、当社の新規事業になり得そうなところを見つけて、そこに投資をしてそこと一緒に育っていくというフェーズが一つ。そして、もう一つは、それをいかに当社の新規事業として定着させるかというところが第二フェーズだと思います。
世の中にあるいろいろな記事とか情報は、ほぼすべてが第一フェーズのものばかりだと思いますが、これから我々が本当に真にチャレンジしていかなくてはいけないのは、一緒に育ってきたベンチャーをいかに当社のものとして、事業にして、大きく拡大して、一つの柱にしていくかと、そういったところが、これは難しいところではありますけれども、我々がやっていくべきところだと思います。
吉澤さん
その先に一つの事業となった後には、社内が変わっていくということ、風土改革というんでしょうか、ずっと2大事業、物流とタンクという2つでずっときて、既存の枠組みの中でやってきたわけですが、意識を変革して新しい事業を創ることや、イノベーションを活性化することにつなげていけるとすごく成功となるのではないかなというふうに思っております。
-
CVCを二人組合で設立する際のパートナー選びのポイントは、どのようなことがあるとお考えでしょうか?
柿原さん
前もって、誠実さと信頼関係がないと、そもそもチームワークでやっていくわけにはいかないので、そこは最も大事なところだと思います。誠実さの中には、“お金のきれいさ”というところがありまして、そこは冨田先生に着実にやっていただいて、我々は非常に信頼しているところであります。あとは、我々のいわゆる一般的な企業人にない特性、機動力とか飛び込んでいくスピードとか、もしかすると新しい人に気に入られる力とか、あとは人を巻き込む力とかそういった組織ではない、個人の魅力みたいなものがあった方がパートナーとしてはふさわしいのではないかなと思っております。
吉澤さん
我々のことを理解していただけるということでしょうか、当社との間を、ベンチャー側サイド、当社サイド、つまり上場企業サイドの両方を理解していただける方は、すごくパートナーを選ぶときには重要なのかなというふうに思っております。
-
CVC設立・運用を新たに始めようとする事業会社様へのメッセージがあれば、お聞かせください。
柿原さん
新規事業というのは、ものすごく大きなチャレンジでかつ成功する確率が、既存事業とまったく違うものだと思います。したがって、既存事業と同じやり方ではなく、殻を破って、それで会社から外へ出て取り組んでいくという覚悟がないとできないと思います。冨田先生と一緒にやって、我々の社内の動き方以外の動き方をいろいろ教えていただきまして、その勢いでやっていくということが、新規事業立ち上げには必要だと思いますし、我々もそうですし、我々よりももっと若い世代の社員さんにとっては、非常にそれが刺激になると思いますので、ぜひトライしていただければと思いますし、そしてうまくいって成功していただければというふうに思います。
吉澤さん
何よりも失敗を恐れないところなのかなと思います。ベンチャー投資って言う世界は“千三(せんみつ)”ともいわれる世界とも言われておりますし、そのあたりの覚悟、そのあたりをしっかり十分理解して、恐れることなく取り組むことが必要なのかなと思います。
-
その他、コメントございましたら、上記、質問項目にとらわれずに、自由にお願いいたします。
柿原さん
CVCの世界でも、いろいろメジャーな企業・投資家の名前ばっかり出てきますけども、決してそれで遠慮することはなくて、ベンチャーの会社って言うのは、技術とか発想はありますけども、それをいかに現実に応用するかという現場を求めているんですね。ですから、我々も物流とかタンクの現場を持っていて、そこでいかに彼らのニーズとマッチングできるのかということを我々が示せば、多くのベンチャーが興味を持って集まってきてくれます。ただ、やはりファンドを立ち上げないと誰も寄ってきませんので、まずはそのための組織であるCVCファンドを作って、ファンドでお金を何億円という金額で投資する枠を確保して、あとは冨田先生のような方と一緒に進んでいけば、どんな会社でも新規事業の種は見つけることができるのではないかと思います。
吉澤さん
実務の担当をしているという目線からすると、やはり当社の既存事業以外の全く全然違う世界というんですか、そういった世界に目を向けられるというのは、非常に楽しく仕事に取り組ませていただいております。その機会を頂いたことに、冨田社長には非常にありがたく思っております。
新しい技術とか全然自分たちの考え方と違うビジネスモデルと携わる、そういうところに出会える素晴らしい機会なんだろうなと感じております。
柿原さん
CVCなんですけれども、我々の事業部門が2本あります。その中に開発がありますけども、どうしてもお客様を目の前にした開発というのは足元の開発になってしまいます。そうすると既存の事業とか既存の顧客とかそういった関係を壊すような破壊的なイノベーションというのは、なかなか社内では不可能です。
CVCで外からのアイディア、外からの技術を入れることによって、破壊的なイノベーションというものができていきますし、これからの製造業でも流通業でも、これからはそういったオープン・イノベーションのスピードについていかないと、やがて取り残されるということではないかと思いますので、ぜひ、こういった新規事業や取り組みを、CVCを通じてやっていくことが良いのではないかと思います。