本書では、新規事業立ち上げに関する広範なテーマ・課題について、解説してきました。正直なところ、新規事業立ち上げについて、包括的かつ実践的にまとめて書くことは、本当に難しい作業でした。予定した時間やページ数を大幅に超えた執筆作業となりましたが、なんとか、私が持つノウハウをできるだけわかりやすく、網羅的に書くことができたのではないかと思います。
本書の完成にあたっては、粘り強く私の執筆作業におつきあいいただいた総合法令出版編集部の田所陽一さんに、心から深く感謝を申し上げます。同社の取締役の齊藤忠さんにも様々な配慮をしていただき、感謝しています。
その他、多くの方々の協力があって、本書を完成させることができました。とりわけ、新規事業立ち上げの方向性の立案について有益な情報提供をしてくださった東京工業大学博士の平田謙次さん、私の博士号の指導教授である慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の武藤佳恭先生、慶應義塾大学名誉教授の岡部光明先生、そして、毎月「メトロガイドセミナー」にて、私のセミナーを運営してくださっている日刊工業新聞社の藤坂浩司さん、そして、多くの事例となってくださった私のコンサルティング先企業のみなさまには、この場を借りて、心より御礼申し上げます。
日本企業が今後も発展していくためには、継続的な新規事業立ち上げが不可欠です。それには、本書で解説した、方向性の戦略立案、競合がいる中での戦い方、アライアンス、営業、財務、チーム構築など幅広い知識やノウハウが必要となります。これらは、これからビジネスリーダーを目指す方々にとって不可欠なスキルとなるものです。
本書によって、一人でも多くのビジネスパーソンが、新規事業立ち上げのノウハウを身につけ、ご自身の会社での新規事業立ち上げに成功することを期待しています。
新規事業の立ち上げには困難が伴いますが、それを苦労しながらも推進することで、自分自身も貴重なビジネス経験を得ることができますし、会社の発展に寄与することもできます。それは、それぞれの方のビジネスキャリアの形成において、大きなプラスになると思います。
本書で、知識とノウハウを得た後は、実践あるのみです。かつて、私の京都大学大学院での指導教授だった吉田和男先生は、「学んだだけでは学んだことにならない。実践してはじめて、学んだと言える」とおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。
本書で学んだ方々が、ビジネスリーダーとして成長するとともに、それにより、日本企業の新規事業立ち上げが促進され、日本経済の活性化に寄与することを心より願っています。