今回は、最近のセミナーで私がお話している新しい内容について、ご紹介したいと思います。
認知的に近いところには、本当に有望な収益機会はない!
ダートマス大学MBA准教授のGiovanni Gavetti氏(投稿時は、ハーバード大学MBA准教授)が2011年にハーバード・ビジネス・レビューに投稿した「The New Psychology of Strategic Leadership」(日本語では2013年1月号に『戦略リーダーは心理学者であれ 戦略に連想は欠かせない』)には、非常に興味深い内容が書かれています。
これまでの認知科学の研究では、人間は、何か新しいことをする際には、過去の経験や身近な情報から判断するということが証明されています。
そのため、新規事業を考える際にも、どうしても、自らの過去の経験や身近なことから、方向性を考えてしまいがちとなります。
ましてや、組織が確立した業歴のある企業、特に大手企業においては、役員会を通したり、社内の理解を得たりする必要があるため、より一層、過去の延長線上の戦略を立ててしまう傾向となります。
つまり、近視眼的になってしまうということです。
さらには、マイケル・ポーターなどの戦略論が普及しており、たとえば、「競争の緩やかなところに出ろ」といったような戦略を皆が一様に学んでいるがゆえに、結果として、企業の戦略担当者や経営者は、同じ方向で、近視眼的に同じようなことを考えてしまうことになります。
そのため、「認知的に(ここでは、心理的に…、あるいは、感覚的に…と同義語と考えてよいと思いますが…)、近いところには、本当に有望な収益機会(ビジネス・チャンス)はない!」と、Giovanni Gavetti氏は、主張しています。
私も、同氏の主張に賛同します。
認知的に遠い収益機会を探索することが大切!
認知的に近い領域の収益機会については、だれもが探索してしまっているがゆえに、有望なものは、もう残っていないわけです。
では、どうすれば、よいか?
Giovanni Gavetti氏は、直観的な連想に意識を向け、体系的に「連想思考」を活用することが重要だと述べています。
事例として出されているのは、LCC(ロー・コスト・キャリア)です。航空業界は、歴史的に、高品質志向が常識であったが、サウスウエスト航空の創業者は、他業種であるコーヒーショップが安価でシンプルなサービスを提供していることを参考に、航空業界でも、そういったサービスを求めている顧客層はいるはずだ!と考えることにより、既存の航空会社が考え出せなかったLCCのビジネスモデルを考え出すことができたという事例があります。
新規事業の立ち上げにおいても、どうしても、過去のデータからの仮説検証的な検討や、業界の固定概念に囚われてしまうという経験がある方も多いのではないでしょうか?
やはり、新しいビジネス・チャンスを獲得するためには、認知的に遠い収益機会を探す必要があります。
そして、そのためには、他業種との比較や、異なる組織や異質な人との連携などにより、Giovanni Gavetti氏の言う「連想思考」を働かせることが求められます。
そのことについては、ゴルフ業界と他業種との比較から、ゴルフ業界の活性化への提言を毎月連載してきている『月刊ゴルフ用品界GEW』の2014年2月号の「冨田賢の横比較の目線」にも書かせていただいています。タイトル:「他業種との比較や提携で、新しい収益機会を発見!」
★『月刊ゴルフ用品界GEW』の該当ページのPDFは、こちら!
http://www.tcconsulting.co.jp/wp-content/uploads/Golf_GEW_Tomita_Yokohikaku_201402.pdf
認知的(心理的・感覚的)に遠い収益機会を探索するには、私が専門としている事業提携(アライアンス)が有効です。
こういった新しい収益機会の探索の観点からも、事業提携(アライアンス)を検討してみましょう!
今回は、やや抽象的となりましたが、以上です。
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では、次回も、このコラムをよろしくお願いします♪
2014年2月13日に連載